このお盆の時期、
甲子園での高校野球が賑わいますね。

中学生も大会が盛んに行われます。
選手たちにとってケガは禁物。

今回はデッドボールでの外傷です。
お盆なので、サービス!
今回の解説は少々細かく説明しています。


症例:中学生男子 野球部(ピッチャー) (9663)令和4年8月1日 再診
主訴:右肩痛
現病歴:2週間前に右肩甲骨にデッドボールを受けた後に、右肩が挙がらなくなる。
所見:他動右肩関節外転90度。左脚内旋硬い。

施術
左膝窩動脈、前脛骨動脈を内旋にリリース。
 →左脚内旋の可動域が右脚と同じになる。
★脚全体の内外旋が硬いと、股関節に眼が行きがちですが、膝下の下腿部に注目しましょう。
 →多くは関節問題よりも、動脈が硬くなって下腿部の筋肉が緊張している事が多いです。
 →筋肉をほぐしても、動脈が硬ければ直ぐにまた硬くなります。
 →筋肉に栄養が十分に行き渡れば、結構持ちます。

側臥位で、肩関節と股関節のバランスを調整。
 →調整と言っても手でゴチャゴチャするのではなく。指を乗せているだけ(笑)
 →30秒ほどで肩の可動域がグンと良くなります。

肩甲骨部背面の外側腋窩裂(四角隙)から出る後上腕回旋動脈をリリース。
「肩甲骨はがし」のように、肩甲骨と肋骨のスペースを作る。
 →かなりへばりついていて、肩甲骨が浮かない。

大小後頭直筋の緊張あり。
 →以前にも書きましたが、筋肉の皮膚を軽く伸ばすと良いです。
 →私は硬膜静脈洞の静脈の流れを良くする方法で、後頭下筋群の緊張を解消しています。

右大胸筋鎖骨部の緊張を皮膚の調整で取る。
 →投球フォームでの痛み消失。

2回目(9日後)
まだ少し痛むという。
右肩外転が120度でロックする
立たせて背面から観る( 一一)
すると、左脚(腸脛靭帯)がまだおかしい。
左腸脛靭帯をサッと擦ると、右肩外転で腕が耳に着く。

この腸脛靭帯(大腿筋膜張筋)や大腿直筋、外側広筋の緊張は良くあります。
 →以前にも書きましたが、この大腿直筋はクセモノです!
 →大腿直筋は起始部が3第1~第3まで3つあります。
 →この第3頭は小殿筋と腸骨大腿靭帯に付着するので大事な所です。

以前は、足の舟状骨の皮膚調整で解消させていましたが、
勉強会でやらせてみると、案外と難しいらしいです。
そこで色々と探してみましたら、
多くに横隔膜脚の緊張があります。

技法
①仰臥位で術者は左横隔膜脚(腰椎1番から3番ぐらいのレベル)にタッチして緊張を確認する。
 →大抵は緊張があるので痛がります。
 →これは脳に気づかせるために行うものです。  
 →脳が気づくと治りやすいです。
②対側の小指球で腹部の緊張部に軽く素早いトルクで圧を掛けます。
 →1か所ではなく、数カ所あります。
③多くは対側の右側にも緊張があるので、手を右横隔膜脚にタッチして同じく行います。
④これで、腸脛靭帯(大腿筋膜張筋)や大腿直筋、外側広筋の緊張は解消されます。


1回目と同じく側臥位で、肩関節と股関節のバランスを調整。
「肩甲骨はがし」はまだ硬い。
通常の肩甲骨はがしは肩甲骨の内側縁から指を入れて、
グリグリ指を入れていく事が多く観られます。
結構痛いので、多くの人は脇を締めてしますので、更に肩甲骨は浮き上がりません。
簡単に肩甲骨を浮かせる方法を教えます。

肩甲骨を簡単に浮かせるための技法
側臥位で、下部胸椎から腰椎まで横突起を前方に押し込むように可動性を付けます。
 →広背筋、腰方形筋、横隔膜にアプローチしている形になるかも。
 →案外と痛いですが、肩甲骨に指を入れるよりも耐えれます。
 →通常は側臥位でもパトリックテストの可動域が広がります。
 →股関節の可動域が広がると、並行して肩関節の可動域も広がります。
 →すると、すんなりと肩甲骨内側縁に指が入ります。
 →この時に、患者さんは「肩甲骨はがしは痛い」と先入観があるので、
とても優しく指を入れていきます。


鎖骨下動脈のリリース。
 →肩関節可動域が悪い場合、腕頭動脈と鎖骨下動脈の緊張を取る事がポイントです。

海綿静脈洞の解放。
最後に、小円筋の緊張が残っていたので、皮膚調整で投球フォームの痛みは解消。

考察
この学生は、デッドボール受けるまではコントロールが良かったらしいです。
外傷を受けると、いっぺんに崩れますね。
しかも、受けた肩だけでなく、下肢や横隔膜まで緊張が出てました。
ただ、臨床をされている先生方は見逃すことは無いと思います。
大事なのは、痛い所だけではく、
色々な所にも影響が出ることを本人と親御さんにも教える事です。

お母さんからのラインで、
昨日の14日に鹿児島で大会があったそうです。
そして優勝したそうです!
しかも、MVPに選ばれました(^O^)/
おめでとうございました。

完。