名古屋での大場弘D.C.率いるマニュアル・メディスン研究会の;
「名古屋研修会:臨床に活かす機能神経学講座(4回)」
の受け付け締め切りは3月15日です。
昨日は鞭打ち損傷後の腰痛は小脳の機能異常が起こりやすいことを書きました。
では鞭打ち損傷後に頸の痛みがある人は多いですが、このケースではどうなのか?
一見、めまいが起こり易いとか頭痛があるとか想像しますが…。
その他に、むかつき、嘔吐という自律神経症状があります。
答えを先に書くと…
…タイトルに書いとるがな!
→「眩しく」なります。
→瞳孔が閉じにくくなるんですね。
→何故に!
その前に「対光反射(瞳孔対光反射)」について;
これはライトの明かりを眼に近づけで瞳孔が収縮する程度を診る視神経と動眼神経の2つの機能検査。
脳死の判定に使われるものですね。
眼球に入る光の量を調節して網膜への傷害を回避する反射です。
光に対しては視神経が情報を送り、
瞳孔収縮については動眼神経が働きます。
経路
光→視神経→視索→視蓋前野→中脳のエディンガー・ウェストファール核→動眼神経(副交感神経系)→毛様体神経節→眼球→虹彩の瞳孔収縮筋→瞳孔収縮
眼球からの神経線維は左右に交差する視交叉、視蓋前野、後交連を通るので、1つの眼球への光刺激でも反対の眼球の瞳孔は収縮します(交感性対光反射)。
図;ビジュアルテキスト脳神経
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でも中々観察しにくいですね。
検査法;
①患者さんに正面ではなく、壁などを見つめさせます。
②検者はペンライトを眼の外側から近づける。
③左右に行う。
④収縮の左右差を確認する。
⑤収縮の速さと持続時間を確認する(副腎と大脳基底核の機能に関与)
この患者さんは結局、硬膜静脈洞の施療で対光反射がかなり正常化しました。
原因は車の中に設置したブルーのLEDライトが点滅した状態が1時間続いていたそうです(→故障を知らせるブルーライト)。
かなり眩しかったらしい
医師;「眼球に関してはまったく問題はありません」
患「え~、そんなんですか~?」
医「でも、何か青い光を見なかったですか~?」
患「ん~、あっそう言えば車の……」
という訳です。
へぇ~、以前ピカチューかポケモンの漫画で子供たちが倒れていましたよね。
光の点滅は脳の機能を混乱させるてしまうのですね。
話は戻って;
檜先生と松浦先生は電子瞳孔計を用いて自律神経反射の観察をしました。
松浦先生は「鞭打ち損傷の患者では縮瞳潜時が優位に延長している」ことを見つけました。
縮瞳潜時;瞳孔が閉じて行くまでの所要時間のこと。
そこで頸や腰の有痛部にプロカインを注射して、その部分のγ線維の活動を抑制するとまぶしさが消失して縮瞳潜時が短縮しました。
→光刺激に対して瞳孔が早く収縮するようになった。
更に「頸に疼痛があるケースは腰に疼痛があるケースよりも縮瞳潜時の異常が多い」という事も見つけました。
これは頸と腰の感覚インパルスを伝える脊髄網様体の神経線維は脊髄下端に行くほど神経含有量が少なくなるから。
追突で頸と腰に異常が起こった場合、腰から脳幹に達する感覚インパルスよりも頸からの感覚インパルスが多いということですね。
当時、頸の異常から起こるめまいや自律神経症状は、直ちに頸の交感神経の活動異常と言われていました。
所が檜先生と松浦先生のデーターでは「深部受容器―自律神経反射」ということが示唆されました。
つまり、頸の深部にある後頭下筋群の筋紡錘の興奮は自律神経症状を引き起こす。
ことになりますかね?
図;プロメテウス
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