フィニッシュ カイロ 脳身研究所のblog

このブログは元JSC日本カイロプラクティック師協会会長と現九州カイロプラクティック同友会の会長、そして現日本カイロプラクティック徒手医学会副会長である荒木寛志が思いのままにつづるものです。 カイロプラクティック施療についての技法、セミナーについても予告や解説を行います。 皆さんが色々な世界を知って大きな視野を持ち、沢山の人々のお力添えになれれば幸いです。

2017年06月

6月18日は埼玉「荒木寛志セミナー」でした。

飛行機に乗ると耳が詰まりますね( 一一)
あくびをするように少し下顎を開けようとすると、
口蓋帆張筋(こうがいはんちょうきん)が働いて、
耳管が開いて来ます。

これが「耳抜き」です。

耳閉になると主に「「めまい」や「難聴」が起るようです。


症例:60代 女性 (平成29年6月7日 再診)
主訴:側頭部痛
現病歴:5月中旬に飛行機の乗った時に機内が寒く、発症。

施療
噴門、幽門
C5
右縦隔
硬膜静脈洞
C1左回旋制限を眼による筋エネルギーテクニック
 →頭痛10→7

篩骨の解放

眼を観る( 一一)
右眼の左側の空間認識がよくない。
 →通す。
 →頭痛10→1

2回目(3日後)
頭痛10→8
病院でCT検査 →異常なし

上頭斜筋カウンター
右側頭後頭縫合の解放
右耳引き
 →中耳をイメージするとツチ骨付近に抵抗あり。
 →その組織を耳を介して牽引。
 →頭痛消失。

考察
3回目の予約の前日に電話があり、もう痛みが無いとのこと。
行きたい所があるからキャンセルしたいと。

耳引きは耳孔の付近を掴んで、後上方に軽く引きます。
今回は側頭骨のバランスをイメージするのではなく、
中耳の耳小骨バランスをイメージしました。

ツチ骨を介して「口蓋帆張筋」をリリースしたものなのかな?
と思う次第です。
実はこの方、
1年前にも寒さで同症状がありました!

その時には、
胸郭と頸椎、眼のアプローチ4回で消失していました。

人が地球上に存在しているために、
外圧による身体の圧力変動は色々な症状を呈します。
そこがミソです。

観えない空気の圧力も、
観える人の圧力(ストレス)も。

6月11日に博多で行われました
九州カイロプラクティック同友会のCCR

以下が報告内容です。

OS: 
症例:67歳 男性 洗浄作業員(3年前から)

主訴:頸・肩・上背部・腰の凝り、むかつき。

リスクファクター:失神して救急車で搬送される(去年10月に1回、今年1月に2回)、

7年前から高血圧で内服薬(150100)、昔から貧血。


必須7項目
①年前から。特に去年の秋頃から増悪。
②どの部位が:両側の頸・肩・上背部・腰の凝り(右>左)。
③どのような状況で:仕事中に多い。
④どの程度:むかつきが出るほど。
⑤症状の性状:熱く感じる。
⑥増悪因子と緩解因子:仕事中に多い。緩解因子は?
⑦随伴症状の有無:むかつきから失神へ。


所見

スパーリング・テスト:陰性

ジャクソン・テスト:陰性

ライト・テスト:陰性

バレリュウー:陰性

他動肩関節外転110度、左140

座位体幹左回旋ROM↓

顔色が、どす黒い


失神の状況(意識不明)

①去年10月、温泉でドアを開けた瞬間に「むかつき」が出て倒れた→救急車

②今年127日、午前中に鉄板を拭いている作業中、右臀部(中小殿筋?)周りが熱くなっていた。

  午後にきつくなって意識不明→救急車

131日、朝から顔色が青く、むかむかしていた。次第に両肩が痛くなり、むかむかして意識不明→救急車



施療(1回目:21日)

回盲弁、脳硬膜静脈洞の解放

施療後は肩関節外転可動域正常。

体幹左回旋時の疼痛変化なし。

乳製品(チーズ)持たせてOリングテストで弱化。

 →乳製品の摂取を控える様に指示。


施療(2回目:2月4日)

頸・肩・腰の痛みは106頸部右回旋が一番痛む。

少し頭がフアッとしてムカムカする(静止時)。

1棘突起を左→右へアクティベーター刺激。T4RPSへアクティベーター刺激。

右斜角筋を垂直にはじく刺激 →頸部右回旋ROM↑

脳硬膜静脈洞の解放、篩骨+前頭骨

回盲弁2時方向へリコイル →座位体幹左回旋ROM


施療(3回目:2月6日)

更に痛み減少。頸部右回旋、座位体幹左回旋ROM正常

3年前から腎臓障害有と言う。

小腸、脳硬膜静脈洞の解放

CV-4(1回目は6回、2回目は10回)

アストラル体に違和感 →エソテリック・ヒーリング


施療(4回目:2月21日)

快調。顔色がとても良い。213日から仕事をしている。座位体幹左回旋ROM↓

蝶形後頭底結合、心臓軸、座位で寛骨臼調整。

 →終了。後はメンテナンスに。


 
考察

仕事である洗浄作業は身体を左右に振りながらシンナーで金属を磨き上げるものでした。

体幹の左回旋に抵抗があり、肩関節外転110度、左140度と体幹の右側に固着した組織の可能性を示していました。

血圧が高いという事と時々右下部前胸部が苦しくなるというのは、線維性心膜と横隔膜の癒着らしい要素を感じられました。

仕事で洗浄作業のため身体を左右に振る動きにより、横隔膜が緊張しているために深層の筋膜ラインに負荷が生じて心臓、肝臓、横隔膜の3孔(腹大動脈、腹大静脈、食道)の狭窄を招き、自律神経に刺激が加わり、内臓反射のような反応が生じたものと推測しました。


イメージ 1

図:アナトミートレイン
良い本です。買いましょう。

追加
3回目の救急搬送時の血液検査の結果には以下の病気が疑われていました。
鉄欠乏性貧血
糖尿病
慢性膵炎
慢性腎不全

これだけの病気が疑われている状態。
とても信じられません。

患者さんはご自分の持病を全部言わない事が多くあります。
私も聞き逃していた事が沢山あり、反省しています。


失神について

はじめに失神とは一過性の全般性脳血流の低下により引き起こされる一過性の意識消失と定義されます。失神の場合、数分以内(多くは1分以内)に意識は回復します。意識の回復が遷延する場合は失神ではなく意識障害と診断します。

神経調節性失神は、排尿、咳嗽、嚥下、食後などの特定の状況で発症する状況失神、恐怖、疼痛、驚愕など情動ストレスにより惹起される情動失神、および血管迷走神経反射による失神を総称する概念とされています

誘因となる刺激の種類や圧受容器、中枢への神経求心路は異なりますが、共通して脳幹の循環中枢に刺激が達し、遠心路として交感神経の緊張が低下し末梢血管の拡張が起こり、同時に遠心路としての迷走神経の亢進がおこり心拍数が低下します。その結果血圧低下と徐脈により脳血流は低下し失神にいたります。最近、神経調節性失神は、反射性失神という呼称に統一されました。


失神の診断は全般性脳血流低下と意識消失の関連を証明することです。神経調節性失神は以下の病態が考えられています。通常、起立することにより横隔膜以下の容量血管に血液が貯留し静脈還流量が減少し、左室充満圧の減少と心拍出量の減少がみられ血圧が低下します。これに対し、動脈の圧受容体からの求心性インパルスが減少し、血管運動中枢、副交感神経心臓抑制中枢に対する緊張性抑制が解除され、遠心性交感神経活動の亢進と遠心性副交感神経活動の抑制が起こり血圧は保たれます。

しかし、この過程で容積が減少した心室に陽性変力作用が加わると心過動状態となり、求心性無髄性迷走神経線維(C fiber)に連続する心室圧受容器が発火します。この求心性インパルスは延髄孤束核で線維を変え血管運動中枢を抑制し、副交感神経心臓中枢を亢進させ、遠心性交感神経の抑制と副交感神経の亢進が起こり、血管拡張、心抑制、徐脈となり失神が生じます。朝礼等での同一姿勢の長時間の起立位はこのような神経調節性失神の誘因となります。




反射性失神


失神の原因のうち、約20%を占めるとされる血管迷走神経性失神は、なんらかの理由によって自律神経の調整がうまく取れないことによって生じます。自律神経には交感神経と副交感神経があります。迷走神経とはこの自律神経のうち、副交感神経に含まれるものです。交感神経には、血圧や心拍数を上げる、車で例えるとアクセルのような働きがあります。一方、副交感神経には、血圧や心拍数を下げたり、消化管の働きを活発にしたりする働きがあります。車に例えるとブレーキのような働きがあります。血管迷走神経反射とはこのアクセルとブレーキの加減がうまくいかない時に起きてしまうものです。








昨日は趾(指)のトラブルが3件ありました。

①20代女性
3年前の左母趾骨折後、母趾が屈曲できない。

骨折部は基節骨らしい。
観る( 一一)

基節骨ではなく、それより近位にある中足骨の流れが悪い。
長母趾伸筋に硬結があります。
 →長母趾伸筋をカウンター
 →第1中足骨から基節骨の流れを出す。

3年ぶりに完全に屈曲出来ました。
本人も両親もビックリ。

趾を伸展(反る)筋肉が緊張し過ぎていたら、曲がりにくいですね。


②10代女子
1か月半前のバレーボール練習中に左第2趾に激痛。
MRIでは「骨挫傷」と診断される。
 →医師は「はっきり折れていない骨折」と。

観る( 一一)
長趾伸筋に硬結があります。
そこにタッチすると、どんなに反っても痛くありません。
 →長趾伸筋カウンター

趾を反りかえしても歩いても痛くありません。
本人も父親もびっくり。
上記①の逆バージョンですね。


③10代男子
昨日、バスケットボール練習中に右第3指を突き指。
屈曲するとPIP(2番目の関節)の掌側が痛む。
僅かに曲がる適度です。

観る( 一一)
第3中手骨の流れが悪い。
基節骨との流れを出す。
曲がりは良くなったが痛い。

そこで定番の横隔膜(右)にタッチ。
痛くありません(^O^)/

不完全ながらグーが握れました。
本人も母親もびっくり。
腫れが引けば握れると思います。

このように、
数か月、あるいは何年も具合の悪い状態である趾(指)。

案外と簡単に問題が解消することがあります。

もっと、びっくりしたのは私の方でした(笑)


CCR(クリニカル・カンファレンス・レポート)

これは九州カイロプラクティック同友会が20年以上前から行っている事。

NHKで「ドクターG」というのをやってますよね。
あれです!

通常の病院では盛んに行われているCCR。
我々徒手医療家はどうでしょう?

普及していないのが現状かと思います。

こんなに勉強になる事はないのですけど、
何故、やらないのかな?

本やセミナーで行う症例の報告。
または、セミナーでのデモ。

案外と結果だけを求めていませんか?

施療を行うに当たって、
何故そのような症状になったか?
何が原因と思われるか?
既往歴や社会歴、嗜好品などの関与はないのか?

色々と頭(知識)を使って皆で思考する。
これはとても勉強になります。

6月11日に博多で行われます、
九州カイロプラクティック同友会のCCR

報告者は私( ̄0 ̄)
どういう症例かというと、

患「先生、私の兄が今までに3回倒れて救急車で運ばれているんです」
私「入院されたんですか?」
患「いいえ、その日に帰ってきます」
私「で、病名は何か言われたんですか?」
患「いいえ、何も…分かりません」

以下がOS(オープニング・ステイトメント)です。
私がどういう対応をしたのか?
そして施療を行えたのか?
施療しなかったのか?

CCR当日に分かります<(_ _)>


症例67歳 男性 洗浄作業員(3年前から) 初診平成2921

主訴:頸・肩・上背部・腰の凝り、むかつき。

増悪因子:仕事中、それも出たりなかったりで、決まっていない。
寛解因子:よくわからない。

リスクファクター失神して救急車で搬送される(去年10月に1回、今年1月に2回)、
      7年前から高血圧(150100)、昔から貧血あり。



九州カイロプラクティック同友会の例会・CCRは会員外でも参加できます。

会場:深見ビル 地下1階B会議室:http://www.fukami-kousan.jp/company/
日時:6月11日 10:00~16:00ぐらいまで
参加費:1万円(当日払い)

参加希望者の方は、以下をご記入の上、20日正午までに私にメールください。
①住所
②氏名
③電話番号(当日連絡が取れるもの)
④職種(カイロプラクター、PT、OT、柔整師など)

荒木メール:araki_chiro@ybb.ne.jp


↑このページのトップヘ