フィニッシュ カイロ 脳身研究所のblog

このブログは元JSC日本カイロプラクティック師協会会長と現九州カイロプラクティック同友会の会長、そして現日本カイロプラクティック徒手医学会副会長である荒木寛志が思いのままにつづるものです。 カイロプラクティック施療についての技法、セミナーについても予告や解説を行います。 皆さんが色々な世界を知って大きな視野を持ち、沢山の人々のお力添えになれれば幸いです。

2020年11月

椎間板ヘルニア
ヘルニアとは「脱出」という意味。
鼠径ヘルニアや裂孔ヘルニアもそういう意味です。

脊椎のヘルニアは、椎間板の一部が脊髄に向かって押し出されて脱出している状態。

昨日、カルテを整理していたら、MRI画像が出てきました。
3年ぐらい前の患者さんのもの ↓

高田由美子

L4/5から後方に脱出して、更に垂れ下がっています。


高田由美子2

左側の脊髄を圧迫しているのがみえます。

通常、病院ではこれが原因で痛いのだと診断されるようです。
この方はどうなったのか?


症例:40代 女性 主婦 (9114) 平成29年8月14日初診
主訴:左腰部から下肢までの痛み。
現病歴:1週間前に1日中歩き回った後に左腰部から下肢外側部に痛みが出る。
 現在は下肢の痛みのみ。
   数か月前に上体が左側へ傾いていた。

既往歴:19歳の時に腰部圧迫骨折(画像ではL2椎体か?)
所見:両臀部に圧痛

施療
左中殿筋のカウンター。
仰臥位で膝を立てた状態でL4・5の椎間板に違和感を感じる。
 →その椎間板をイメージする。

2回目(1週間後)
1回目の翌日にMRI(上記画像)でL4・5の椎間板ヘルニアと診断される。
しかし、痛みは10→3になっていた。
立位で骨盤を右→左へ移動させると左臀部痛。
初診時の左下肢痛はない。

左中殿筋のカウンター。
仰臥位で膝を立てた状態で、L4・5椎間板と前縦靭帯をイメージする。
これで、立位で骨盤を右→左へ移動させると左臀部痛は激減。

3回目(1週間後)
痛み消失してました。

考察
これは、何が効いたのか?
患部をイメージするだけで鎮痛するなら、医学はどうなるのか?
勘違いして欲しくないですが、この記事を挙げたのは、疑問を持っているからです。

これで、椎間板ヘルニアが消失するのか?
良く言われる無症候ヘルニアだったのか?
イメージではなく、中殿筋のアプローチが効いたのかもしれませんし m(__)m

3か月後にメンテナンスでお見えになりまいたが、痛みはありませんでした。
結果オーライだけど、未だに納得出来ていません。

この時期は、散々イメージを使って施療していました。
結果は良好。
でも今はあまり使っていません。

私は人間の仕組みを研究しています。
何故、そうなるのか?
何故、そうなったのか?

原因があるはずです。

それを紐解くのが仕事だと思ってやってます。
そして、その原因と症状の関係を患者さんの脳で理解してもらう事に重点を置いています。

追加:
施療中、足部を詳細に観ていませんでした!
中殿筋は股関節の安定させます。
安定には、第4・5趾側、立方骨、踵骨が関与します。
→推進の運動は第1~3趾側と楔状骨、舟状骨、距骨になります。

下肢外側から臀部なので、経絡で言うと、中殿筋側なので「胆経」になります。

IMG_0009 (2)
 図:プロメテウス
 良い本です。買いましょう。



最近は足部を詳しく観ています。

肩関節の可動性制限。
良くありますね。

原因は様々。

私の場合、問診後に立位で望診をします。
そこでおかしな所を把握します。

例えば、
問診表に書かれていないトラブルの部位に対して、
「左膝故障したことはありませんか?」
などど問うと。

患「…(思案中)あ、そう言えば昔、痛めたことがあります」
と言った返答もあります。

身体前面を観ていて、
「左腰がおかしいんですか?」
と問うと。

患「何故、左と分かるんですか?」
と言った返事も尾あります。

別に、超能力者では無いですが、
長年、観ていると手で触っている状態で、望診が出来るようになりました。
 →妄想かもしれませんけどm(__)m


症例:60代 男性 農業 (9947)初診
主訴:右肩が挙がらない。
現病歴:数十年前から(恐らく仕事での酷使と思われます)痛いが、最近顕著に痛む。
既往歴:30年前に右足関節捻挫。
     今年8月に逆流性食道炎。
所見:立位肩外転で両側90度でロック。
    右前鋸筋筋力70%。

施療
望診で、
私「肩が悪い訳じゃ無いみたいですね」
患「え!」

所見で行った立位肩外転で両側90度でロック位で、抵抗のラインを探す。
私「ここですね」
→右下腿外側をさっと擦る。

外転で上腕が耳まで着きそうになる。
患「え、え、~!」
→これで、施療に興味を持って頂けます(^O^)/


座位で脊柱・骨盤にタッチ。
座位で両脇(前鋸筋)にタッチ。
 →患者さんの上半身が左右に回転します。
 →正中に戻って制止したら前鋸筋の筋力は正常になります。
 →肩が挙がらないのは、どこかの筋肉のトーヌスが変わり、肩関節に負担が来ている証拠。

両側の足関節、膝関節、股関節の関節軸をMPで身体に伝える。

胃を観ると、裂孔ヘルニアみたいな感じで、上方に上がって感じます。
それを修正。

両側の棘上筋にタッチして、第2中手骨でラインを通す。

右足関節捻挫に対して、足関節と腓骨をリリース。
→これで後頭骨の左回旋制限が解放されました。

施療後には両上腕が耳まで着きます。
患者さんに肩を回してもらうと、グルグルと何も問題は無いとの事でした。

帰り際に、
患「ビックリした!」
と言われましたm(__)m

考察
2回目も来ていただきましたが、肩の問題はありませんでした。
数10年も辛かったと思いますが、良かったです。

肩関節だけでなく、四肢の問題は、大抵はそこではなく、
体幹の筋肉低下や内臓問題が多いようです。
それと、かけ離れた遠位部からの影響です。
 →外傷は別です!

病院や整骨院では保険制度の問題があり、
主訴の部位しか検査出来ないし、アプローチも出来ないようです。
→自費で行う場合にはそうではないと思いますけど。

保険制度を作っている方々は、身体の事をどう理解されているのか?
私も身体の仕組みが分かっている訳ではありませんm(__)m

肩関節可動制限で観ておくべき体幹の筋力テスト。
①広背筋
→最大挙上に骨頭を足方に引く作用があります。
→これが弱いとロックします。

追記膵臓やオッディー括約筋の調子が悪いと広背筋の筋力低下が起こりやすいですが、
それ以外(頸神経問題は除く)の何らかの問題で弱化する場合があります。
その場合、起始部の仙骨部の筋膜~T6横突起付近の圧痛部にコンタクトして、
同側の距骨の横軸を通す(タランチュラ)タッチで10秒ほど待つと回復します。


②前鋸筋
→中間位から最大位にかけて作用します。
→これが弱いと三角筋、棘上筋、僧帽筋が過剰に働くため、その筋群は緊張して行きます。





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