フィニッシュ カイロ 脳身研究所のblog

このブログは元JSC日本カイロプラクティック師協会会長と現九州カイロプラクティック同友会の会長、そして現日本カイロプラクティック徒手医学会副会長である荒木寛志が思いのままにつづるものです。 カイロプラクティック施療についての技法、セミナーについても予告や解説を行います。 皆さんが色々な世界を知って大きな視野を持ち、沢山の人々のお力添えになれれば幸いです。

解剖学

恥骨痛。
私が体験したのは、出産後の恥骨痛と、
サッカーでの恥骨痛です。

産後のケースは、
出産時に恥骨の靭帯を弛緩させるリラキシンが分泌され、
出産しやすくしてくれるのですが、産後も暫くで続けるそうです。
その時に、トイレなどへ行って動いたりした場合に、
恥骨結合のズレ?などで痛みが起こるとされています。

20年ぐらい前のケースなので詳しくは覚えていませんが、
抱っこされて、入院先の病院から来院されました。
何をしたかは忘れましたが、歩いて帰られました。

今回のケースは小学生のサッカー少年です。


症例:小学生男子 サッカー部 (9716)令和4年5月17日再診
主訴:下腹部痛と恥骨痛
現況歴:サッカー練習中に発症。
所見:病院では恥骨の炎症。
  腹直筋と腹斜筋の筋力テストで痛む。

施術
外閉鎖筋へのアプローチ。
 →これは後日また書きます。

仰臥位の背面から緊張している左横隔膜脚に左指でタッチして、
そこから走る抵抗のライン(このケースでは盲部と直腸)を右母指球で瞬間圧を加える。
 →腹直筋と腹斜筋の筋力テストでの恥骨部の痛み消失。

2回目(3日後)
父親から、まだ痛いというので見てもらえますか?との連絡。
ん??!
これはおかしいな~と思いながら問診と検査をする。

両側の恥骨が痛く、走ると横隔膜部(上腹部)が痛むという。
腹筋運動でも痛む。
ファディーフ(股関節屈曲・内転・内旋)すると、
右側では恥骨結合部の痛み。
左側では鼠径部の痛みがある。

全体を観ていると、
ん?右肩周囲がおかしいと感じる。
私:右肩を打撲かなんかした?
患:打撲しました。
私:いつ?
患:昨日です。

道理でおかしいと思いました。
体幹への打撲などの強い外傷は呼吸筋が緊張します。
つまり、肋骨の問題が出てくるという事。

確認すると、
右第2肋骨の呼気が出来ない状態でした。
その第2肋骨を足方に押してもらいながらファディーフを行うと、
右側が臀部痛、左側が痛み消失となりました。

両側の大腿動脈、前後脛骨動脈リリース。
外閉鎖筋へのアプローチ。
 →これでファディーフでの痛みは消失。

仰臥位で横隔膜の前方の抵抗のある3カ所をリコイルする。
側臥位で肩関節と股関節にタッチして、空間の図形が整うのを待つ。
 →右第2肋骨の呼気障害が消失。

右錐体筋の緊張が残っていたので、
白線部上の下腹部(ツボ=関元)と、
腹直筋起始部(第5肋骨)レベルの正中線上にタッチ。
 →タッチは皮膚の抵抗のある方向に微妙に引く感じです。

これで腹筋運動も痛みが消失しました。

考察
過去に何度も、このケースは観てきました。
サッカー、バスケットなどでのアタックされての外傷から誘発される恥骨部の痛み。
腹直筋、腹斜筋は観ておくことが良いと思います。

完。

前回書いた野球少年。
お兄ちゃんの施療に一緒に来てくれました。
もう痛みもなく、練習を始めていて、脚が筋肉痛(笑)
良かった、良かった。

尾骨というか硬膜の問題は色々と症状を呈しますね。

硬膜管が骨(脊柱)に付着している所は:
①第2・3頸椎
②第2仙椎
③その他。大孔、第5胸椎、下部腰椎などバリエーションもある

イメージ 1


図:クラニオセイクラル・バイオダイナミクス
良い本です。買いましょう。

この図からも分かるように、
硬膜により頭蓋から尾骨までは一体となっています。

だから、尻もち着いて頭痛が起こるものそうです。
Kernig Test、Brudzinski Test陽性の髄膜刺激症状もこの原理でしょうね。

過去にとても酷い頭痛のために脳神経外科に行き、
髄液検査後に歩けないぐらいな頭痛になった方を観ました。

上記2つのテストも陽性。
Underburg Testも陽性でした。

通常は禁忌症!
でも脳神経外科病院で異常なしの診断でした( ̄[] ̄;)!ホエー!!

腹臥位で仙骨に軽く手を乗せて回旋させると、
凄い頭痛が起きました。
しかし、逆に回旋させると頭痛は軽減されました。

5回ぐらい施療しました。
最終的には「蝶形後頭底と第2頸椎の変位の調整」頭痛は消失しました。


詳しいことは施療方法も加えて、徒手医学会で論文発表しています。

只今、徒手医学会のHPでは過去の論文をアップしています。
現在は11巻~16巻までの近年のものがアップされています。

それより古いものはもうじきアップされますので暫くお待ちください。
㊟:今回の症例は古いものなのでまだアップされていません。m(_ _)m




このクラシカルのセミナーで沢山質問したかったが、
質問後の実技を楽しみにしている先生方を察すると…控えた( ̄^ ̄)
 
中でも、椎間板に伸びている「脊髄神経反回硬膜枝」についてである。
この神経の呼び名は多数あり、混乱します。
 
名称
椎骨洞神経 sinuvertebral nerve of Luschka
脊髄洞神経
反回髄膜神経recurrent meningeal nerve
反回硬膜神経
 
分布:痛みと鎮痛の基礎知識より(小山なつ先生)
脊椎洞神経は前枝から分岐する。 椎間板の線維輪浅層(=表層、外層)やその間の後縦靱帯、硬膜外腔、硬膜前面、骨膜を支配する。 各々の椎骨洞神経は脊柱管と椎間板上部に分岐し、各レベルの椎間板を支配している。 いったん椎間孔を出た脊髄神経が、脊髄神経から枝分かれし、交感神経幹交通枝とが吻合して後に、再度椎間孔から脊柱管に戻り線維輪や硬膜に分布する。
 =椎間板の後方線維輪などは、脊椎洞神経(侵害受容線維)と交感神経の二重支配を受けている。
損傷のない椎間板の内部は、椎骨洞神経が分布していないが、椎間板が損傷を受けると、修復をおこなうために、血管と椎骨洞神経が椎間板内に伸びていき、椎間板内の炎症に反応し、腰痛椎間板ヘルニア頸部腰部)などと関連のある神経となる。 脊髄洞神経は基本的に多髄節支配であるので、どこが痛いのかわかりにくい。
 

浅層神経叢侵害受容線維+交感神経多髄節支配
深層神経叢侵害受容線維単髄節支配

 
 
という訳で、椎間板ヘルニアによる疼痛は、
椎間板の突出で神経根が圧迫刺激されて起こるというより、
椎間板の線維輪が損傷して、
その刺激を「脊髄神経反回硬膜枝(以下:洞神経)」が受け取ることで感じるように思う。
 
 
さて、その洞神経の分布を詳細に報告している論文があった!
実に興味深いものです!
 
 
これによると、洞神経が色々な部位に分布していることが分かる。
 
分布
①硬膜(硬膜主幹から前方部分のみに分布))
②椎間板(後縦靱帯からの枝が分布)
③後縦靱帯(硬膜枝からの主幹から分布)
④椎間関節(硬膜枝からの主幹から分布)
④椎体骨膜・椎体内
⑤椎骨静脈洞(硬膜枝からの主幹から分布)
⑥腰動脈脊髄枝(硬膜枝の細枝から分布)
 
これらは全て1分節性。
 
構成:多い順番になる。
第1型:脊髄神経+交通枝
第2型:脊髄神経前枝+交通枝
第3型:脊髄神経後枝+交通枝
 
気になるのが、左右対称に分布しているかどうかである。
この研究では7体の検体から両側70部位の腰神経硬膜枝を調査している。
しかし、7体中4体に両側40部位の硬膜枝を追及できたとある。
 
果たして、洞神経は両側にあるのだろうか?
ひょっとして片側だけの分節もあるかもしれない。
 
そうなると、ヘルニアにより線維輪が損傷していても、
痛みを感じないケースがこれにあたると思う。
 
:ヘルニアによる神経根の圧迫で痛みが起こるという説は現在否定的です。
太い神経根部には侵害受容器はありません。
あくまでも細い侵害受容器が各々の情報を脳へ伝達します。

 
 

いつもは書かない土曜日と月曜日に書いたよ。
これは自分の勉強の為だから~、面白くは無いですよ。
でもマニアは、こういうのをとても好む。

胸椎のどこからが上半身・下半身?
考えた事がありますか?
 
モーションパルペイションでは第4胸椎までは頭部を動かして検査が出来ますね。
つまり、頸部の動きに連動しているということなのでしょう。
 
ならばT4までが上半身か?
 
イメージ 1
これは皮膚分節(デルマトーム)
 
脇の所が第3・4胸椎ですね。
 
でもこのデルマトームは発表者によってバラバラ。
 
図;プロメテウス
良い本です。
買いましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
では筋肉で観てみましょう。
イメージ 2
 
胸横筋
 
第2肋軟骨~第6肋軟骨まで着いています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 7
 
 
 
横隔膜
 
第8胸椎付近まで位置していますね。
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
 
 
菱形筋
 
第4胸椎まで着いています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 4
 
僧帽筋
 
上部下端;第7頸椎
中部下端;第4胸椎
下部;第12胸椎
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 6
 
広背筋
 
 最上位は第7胸椎
イメージ 5
 
 
背部を総合するとこんな感じ。
 
 
 
 図;人体解剖学
良い本です。買いましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

書き足す事に必至(笑)
今日(6月23日)2回目のブログ。
 
歩行時に腕と脚を交差しながら歩行します。
この時の脊柱起立筋の状態はどうなっとるん?
 
つまり背部の筋のどの辺から上が上肢の動きに連動して、どの辺から下が下肢に連動しておるのか?という疑問。


例えば脊柱の胸椎で観てみます。
詳しく書かれている「Kトモ」さんのブログから勝手に拝借<(_ _)>
 
フライエットの法則には、以下のものがあります。
  第1原理:中立位メカニズム(タイプⅠメカニズム)
  第2原理:非中立位メカニズム(タイプⅡメカニズム)
  第3原理:軸の相互作用メカニズム(タイプⅢメカニズム)
 
第1原理では、側屈と回旋が逆方向に起こります。
 →側屈が起こり、そして回旋が起こるとされています。
 
第2原理では、回旋と側屈が同方向に起こります。
 →回旋が起こり、そして側屈が起こるとされています。
 
 第1原理と第2原理は通常、胸椎と腰椎の運動に適用され、頚椎には適用されないとされています。
 
グリーンマン先生の著書である『マニュアルメディスンの原理』では、以下のように記載されています。
環椎後頭関節:タイプⅠ
環軸関節:回旋
典型的頚椎:タイプⅡ
胸椎及び腰椎:タイプⅠ及びタイプⅡ
 
第1原理(タイプⅠ)の動きには、椎体・椎間板・浅層筋・中層筋が関与すると考えられています。
第2原理(タイプⅡ)の動きには、椎間関節・深層筋が関与すると考えられています。
 
徒手療法的には、T9は大変重要だと考えられます。
 T9は、関節面の方向の移行点と考えられ、運動の移行点と考えられます。
 T9は、中心アーチ(セントラルアーチ・ダブルアーチ)と生理学的アーチのキーストーンであり、機能的アーチにおけるピボットです。
 ピボットは多くのストレインを受けやすい部位と考えられています。
 そして、T9は脊柱全体のキーストーンとも考えることができます。
 上半身と下半身の分け目とも考えることができると思います。
上半身と下半身をどこで分けるかは様々な考え方があると思います。
  構造的
  機能的
  生理学的
  筋筋膜的
  神経学的
  発生学的
  血管運動的
  運動学的
  などなど・・・。
 
 中立位の状態ではT9を境にして、上部(C6まで)は屈曲傾向で、下部(L5まで)は伸展傾向と考えられているようです。
 

ん、
胸椎の動きはタイプⅠ及びタイプⅡ~?
どこでどう変わるん?と思っていたら後日書いてくれていました!
何ともKトモさんは良く知っていますね。
 
あまり考えない人はKトモさんのブログを観ても感動しないでしょうが、私はとても感動しています!
そして刺激を受けています。
ありがとうございます。m(__)m
 
そこで胸椎でツイストしている部位がT9あたりとなるのか?という考察が要りますね!
 
イメージ 2
 
 
図;アナトミートレイン
良い本です。
買いましょう。
 
これは「ファンクショナル・ライン」です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
 
 
 
 
図;ムービング・ボディより
良い本です。買いましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
観ると「広背筋」が鍵のようですかね?
イメージ 1
 
図;プロメテウス
良い本です。
買いましょう。
 
最上位は「T7」ですね。
少し違います。
 

↑このページのトップヘ